三軒茶屋マルオ歯科 上顎洞底挙上術(サイナスリフト)とインプラント埋入手術

1) HoloEyesを知った経緯は?

2012年にハーバード大学に留学した際に、デジタルによる医療の変革の波を肌で強く感じました。当時、米国ではすでに口腔内スキャナによる印象(従来の型取りではなく、スキャンによって型取りを行う方法)が臨床応用され始めていました。その影響を強く受けた私は帰国後、口腔内スキャナやCAD/CAMなどのデジタルを活用した歯科医療、すなわちデジタルデンティスリーについて積極的に臨床や研究を行ってきました。

そんな折に、日本橋インプラントセンターの玉木先生より「この人たちと君が組んだら面白そうなことができるよ!」ということでHoloEyes株式会社を紹介して頂いたのがきっかけです。

口腔内スキャナがコンピュータの発展と同じように、あとは時間の問題でスペックが向上していくことを確信した私にとって、次なるデジタルの応用を模索していた時期で、VRに非常に興味を持ちました。

 

 

2) HoloEyesのサービスに期待していること

これまでインプラントの手術はCT撮影後にシミュレーションソフトを用いて、2次元でインプラント埋入のシミュレーションを行ってきました。しかし、実際に手術をおこなうと、シミュレーションのイメージと異なることもあります。そんな時は、術中に再度シミュレーションやCTを確認し手術が中断することもあります。

また、インプラント手術では、神経・血管・副鼻腔など実際には見えないエリアを損傷しないように気を配りながら手術を行うことが多くあります。そのような場面でこのHoloEyesのVRを術中に確認しながらインプラントや骨造成手術ができるようになれば、手術をより安心・安全かつ効率的におこなうことができると考えました。

さらに、いままで2次元で見ていたものを3次元で見られるようになったことによって、「言葉による説明」、つまり言語コミュニケーションが「あれ、これ、ここ」といった非言語のコミュニケーションが可能になります。したがって、患者さんへの説明の理解度が深まることや、手術スタッフ間での術式や患者さん固有の解剖学的特徴を共有することができるという点も期待しています。

 

3) 実際に使ってみた感想

今回、上顎洞底挙上術とインプラント埋入手術にVRを活用しました。上顎洞底挙上術は、実際には見えない部分にアプローチするという点において、インプラント治療における骨造成手術の中でも非常に難易度の高い手術のひとつといえます。

その上、顎洞という見えない空洞にアプローチする際、すぐ横にVRによる透視画像が存在することは、非常に術者にとって安心かつ効率的に作業が進められると感じました。

また、術前に患者さんにVRゴーグルをかぶっていただきながら説明した際に、「ようやく先生の言っていた(術式の)意味がわかりました」と言われた時は、3次元情報による非言語コミュニケーションの説得力に感服しました。

4) 導入に向けハードルになりそうなこと

今後は、インプラント手術だけではなく、口腔外科・矯正歯科・根管治療など他の歯科領域での応用も推進していきたいと考えています。

その導入に際しハードルとなることは、やはりイニシャルコストの問題でしょうか。初期費用として、VRを起動するデスクトップPC、VRゴーグル、Hololensなどこれらをどこから捻出するかという点が、大きな病院になるほどハードルになるかもしれません。

また、VRアプリにするまでのデータの加工は、医師・歯科医師自身がおこなわなければいけませんので、そういった技術的なハードルもあるかもしれません。