広島大学病院 医療向けVR/MRサービス HoloeyesXRの使用経験

はじめに

Virtual Reality(VR対応Wimdows PC/専用VRゴーグル)

広島大学病院は、2018年4月より医療向けのVirtual Reality(VR)サービスHoloeyesXRを導入し、術前のシミュレーションや若手医師の教育用ツールとしてVR画像を活用をしています。このサービスは、臨床で使われている患者の3DイメージデータをVRデバイスで閲覧する最新の医療画像サービスであり、その使用経験を以下に報告します。

 

 

 HoloeyesXRの概要

Mixed Reality(HoloLensを装着して見た実空間)

HoloeyesXRサービスは、HoloEyes株式会社が開発した、CTなどの医療用画像から作られた3Dデータを市販のVRデバイスを利用して3DでのVR体験を可能にするクラウドサービスです。3Dデータ形式であるSTLファイル形式にされた医療画像データをインターネットを通じてHoloeyesXRの専用サイトに登録することで、VR体験用のアプリケーションデータが生成されます。

VRを体験するためには、VR対応のWindows PCやVRゴーグルといった市販のVRデバイスが必要であり、HoloeyesXRサイトにて生成されたVRデータをVRデバイスにインストールすることで利用ができます。同様にMicrosoft社のHoloLensを使うことで、実空間に3Dモデルを浮かべて3D画像を閲覧するMixed Reality(MR)が体験可能となります。

 

当院での運用

HoloeyesXRサイト

最初にVR対応のWindows PCと専用VRゴーグルを1セット導入した後、MR用のHoloLensを2台導入しました。現時点では、整形外科部門における腫瘍摘出の術前シミュレーションや若手医師のトレーニングなどに活用しています。デバイスの管理やデータの生成は、画像診断部門の診療放射線技師が担当しています。
画像診断部門では、担当医師からの依頼を受け、 VR/MR化したい患者データを院内の画像処理ワークステーションで再構成された3DイメージをSTLファイル形式でエクスポートし、登録用STLデータを作成しています。VR体験時に、骨や血管、腫瘍などを色分けするため、セグメント化されたSTLファイルを作成しています。

HoloeyesXRサイトにログインし、サイト画面に従ってSTLデータを登録していくことでVR体験用のアプリケーションのリクエストが可能となり、サイト上でリクエストをしてから10分程度でVR用のアプリケーションデータが完成。アプリケーションデータをダウンロードし、VRデバイスにインストールした上で、担当医師が利用をする流れとなっています。

 

メリットとデメリット

VR/MRで患者データを閲覧する最大のメリットは、これまで、2次元のモニター上では十分にわからなかった関心領域の位置関係への理解が格段に高まることと医師同士が共有できることにあります。これらは術時のリスク低減や経験の浅い医師の理解度を高める大きな役割を果たしています。

デメリットは、STLファイルの作成から登録、多様な機器を利用することの複雑さが挙げられますが、これらについてはITテクノロジーの進歩の速さを考えても、時間と共に解決されていくものと思われます。

 

おわりに

VRの利用開始から半年以上経つが、医療領域におけるVR/MRは、近い将来なくてはならないものになる可能性を秘めています。今後は、整形外科領域のみならず、他領域での活用やVR/MR利用時の有用性の検討などに取り組んでいくとともに、新たな医療コミュニケーションツールとしてソフトやハード面での発展に期待しています。