ERCP/EUS手技をアシストする3D画像解析とXR技術
― 術前シミュレーションから遠隔指導まで、消化器内視鏡領域におけるXR活用の現在地 ―

近年、胆膵領域の内視鏡治療は高難度化が進んでおります。CTやMRIから構築した3Dモデルを用い、XR技術をERCP/EUS手技の事前シミュレーションや術中アシスト、教育、そして遠隔指導に活用する取り組みが注目を集めています。
本レポートでは、第111回日本消化器内視鏡学会総会における
コーヒーブレイクセミナー9「ERCP/EUS手技をアシストする3D画像解析とXR技術」の講演内容をまとめ、消化器内視鏡領域におけるXR技術の現在地と具体的な臨床応用について整理します。


コーヒーブレイクセミナー 開催概要

本セミナーは、第111回日本消化器内視鏡学会総会において、「ERCP/EUS手技をアシストする3D画像解析とXR技術」をテーマに開催されました。50名以上の先生方や関係者にご参加いただき、胆膵領域で実際にXR技術(Holoeyes MD)を臨床活用されている3名の先生方より、最新の事例と教育・遠隔指導への展開についてご講演いただきました。

第111回日本消化器内視鏡学会総会・Holoeyes株式会社共催
コーヒーブレイクセミナー9 ERCP/EUS手技をアシストする3D画像解析とXR技術

日時:2026年5月9日(土)13:20〜14:10(50分間)
会場:第14会場 パシフィコ横浜 会議センター 5階 511+512
登壇者:
司会:杉本 真樹(帝京大学冲永総合研究所 Innovation Lab)
講演1:垣谷 有紀(大阪公立大学 大学院医学研究科 消化器内科)
講演2:永井 一正(東京医科大学 臨床医学系消化器内科学分野)
講演3:谷坂 優樹(埼玉医科大学国際医療センター 消化器内科)


胆膵内視鏡の新時代 Extended Realityが切り拓く次世代胆膵内視鏡(講演1:垣谷 有紀 先生)

垣谷先生(大阪公立大学 大学院医学研究科 消化器内科)からは、平面画像では困難であった複雑な胆管枝の立体構造把握をXR技術で補完するアプローチと、その教育効果について解説が行われました。

垣谷有紀先生によるExtended Realityの講演

臨床における解剖把握と術前シミュレーション

垣谷先生の施設では2024年よりHoloeyes MDを導入し、約10分で3Dモデルを作成する体制を確立しています。12症例の調査(Endoscopy誌へも報告)において、91.7%の症例で3Dモデルにより解剖学的な把握が容易になったという結果が得られました。透視画像との比較でも高い精度での一致を見ており、2Dでは短く見積もりがちな胆管長を空間的に正確に測ることで、適切なステント準備が可能になっています。

初学者のランニングカーブを向上させる教育ツール

超音波内視鏡(EUS)ができる医師10名を対象にした解剖学的理解度テストでは、2D画像のみでは正答率が低下する一方、複数台のVRゴーグルを用いて指導医と修練医が同じ3Dモデルを共有することで、正答率の大幅な向上が確認されました。本システムは、空間的理解を大きく高め、初学者の教育に有用な効果をもたらすことが強調されました。


MR技術がもたらす胆膵内視鏡の新たな視点 ― Holoeyes MDによるERCP・EUSへの応用(講演2:永井 一正 先生)

永井先生(東京医科大学 臨床医学系消化器内科学分野)からは、作成された3D胆管像を術中に多角的に参照できる有用性と、スライス機能を活用したEUSトレーニングへの応用について解説が行われました。


永井一正先生によるMR技術の講演

術中に自由な大きさや視点で3Dモデルを参照することによる迅速な意思決定

胆摘出後の胆汁漏の症例では、外科からB4の枝にENBDチューブを留置してほしいという依頼を受け、MRCP(MR胆管膵管撮影)画像から胆管の3Dモデルを作成し、B4の枝がどこから分岐しているかを確認。複雑な分岐の先端にある液体貯留を把握し、円滑なENBD(内視鏡的経鼻胆管ドレナージ術)に寄与した事例が紹介されました。術中の迅速かつ精細な状況把握において、XR技術が大きく貢献しています。

「スライス機能」による仮想EUS画像の構築

Holoeyes MDのスライス機能を活用し、胃内からのスコープ位置に応じた「仮想EUS画像」を事前に構築する手法が実演されました。構築された画像は実際のEUS画像と高い精度で一致しており、若手医師がパターン認識でEUS画像を学ぶための有用なトレーニングツールとして評価されています。


Holoeyes MDを用いたERCP関連手技における事前教育ならびに術中支援(講演3:谷坂 優樹 先生)

谷坂先生(埼玉医科大学国際医療センター 消化器内科)からは、自施設における消化器内科医自身の3Dデータ作成体制と、難渋症例の克服、さらに遠隔指導の取り組みについて報告が行われました。


谷坂優樹先生によるERCP事前教育の講演

アノテーション機能を用いた事前教育と術中参照

肝門部胆管癌の事前教育では、Holoeyes MDのアノテーション機能で狭窄部やステント留置ラインをマーキングし、修練医と共通認識を形成。また、難渋する胆嚢炎の経乳頭的ステント留置や、超音波内視鏡下穿刺吸引法(EUS-FNA)後の蛇行する膵管内のワイヤー操作においても、術中に3Dモデルを参照することで手技の安全な遂行をサポートした事例が示されました。

Holoeyes VSによる遠隔指導と地域格差是正

遠隔の施設間で同じ3Dモデルを共有する「Holoeyes VS」の取り組みも紹介されました。病院の強固なセキュリティ課題に対して、独自にモバイルWi-Fiを契約することでスムーズなセッションを実現するという実践的なノウハウが共有されました。これにより、内視鏡的逆行性胆管膵管造影(ERCP)関連手技の「地域格差是正」を目指すという力強いビジョンが示されました。


ディスカッションおよびハンズオン体験

Q&Aでは、ヘッドマウントディスプレイの装着感に関する実践的な議論や、診療放射線技師と内科医自身によるデータ作成のワークフローの違いについて活発な意見交換が行われました。
講演後には、参加者が各先生方が実際に手術・教育で使用した3Dモデルの中に入り込む没入体験(ハンズオン)が実施され、多数の参加者がXR技術の直感的な価値を体験しました。

ハンズオン体験でVRゴーグルを装着する参加者
ハンズオン体験でVRゴーグルを装着する参加者


まとめ|XR技術は臨床現場の「不可欠なツール」へ

本セミナーを通じて明らかになったのは、XR技術がもはや「近未来の技術」ではなく、ERCP/EUSの臨床現場で実用化されているという事実です。術前シミュレーション、若手への解剖教育、そして遠隔指導による地域格差の是正に至るまで、Holoeyes MDは消化器内視鏡領域において「重要なツール」へと進化していることを、参加者一同が肌で感じる場となりました。

第111回日本消化器内視鏡学会総会 コーヒーブレイクセミナー9 登壇者の様子

※ 販売名:医療用画像処理ソフトウェア Holoeyes MD (一般的名称:汎用画像診断装置ワークステーション用プログラム)、クラスⅡ(管理医療機器)、認証番号:302ADBZX00011000、認証日:令和2年2月28日


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